週末ワークキャンプ「伝統的な日本酒づくりを支える」に参加して新たに学んだ、ボランティアの「繋ぐ」役割
現代心理学部心理学科4年次 樋口 雅哉さん
2025/04/24
立教生のキャンパスライフ
OVERVIEW
ボランティアセンターでは、立教卒業生がご家族で経営する「権田酒造株式会社(埼玉県熊谷市)」との出会いから、同酒造を活動の受け入れ先とするボランティアプログラム、週末ワークキャンプ「伝統的な日本酒づくりを支える」を新たに開発。11月16日(土)?17日(日)の1泊2日で、“日本酒造り”を支えるボランティア活動を実施しました。参加した学生は、伝統産業の継承や経営の安定化など、酒造りを取り巻く多様な課題に接しながら、酒造で働く方々と協働し、日本酒の仕込み作業に取り組みました。
この活動に参加した現代心理学部心理学科4年次の樋口雅哉さん(参加時は3年次)がレポートします。

権田酒造
冬が始まろうとしていた2024年11月中旬、私は立教のボランティアセンターが主催した宿泊型のボランティア活動(週末ワークキャンプ)に参加しました。参加したきっかけは単純で、「楽しそうだったから、興味があったから」です。日本酒を好んでよく飲んでいたので、泊りがけで酒造のスタッフと同じ作業、同じ生活ができる機会は、とても魅力的でした。
今回私たちを受け入れて下さった権田酒造株式会社は、ご家族で営まれている小さな蔵で、埼玉県熊谷市にあります。日本酒造りが始まり忙しくなってきた時期に、様々な作業をサポートするべく、私を含めて5人の立教生が集まりました。想像よりも、規模の小さいボランティアでした。
今回私たちを受け入れて下さった権田酒造株式会社は、ご家族で営まれている小さな蔵で、埼玉県熊谷市にあります。日本酒造りが始まり忙しくなってきた時期に、様々な作業をサポートするべく、私を含めて5人の立教生が集まりました。想像よりも、規模の小さいボランティアでした。
主に、常務である権田拓弥さんや、お母様で立教大学の卒業生、そして一時期立教学院(立教新座高校)でも働かれていた権田幸子さんにお世話になりました。活動の一週間前には、池袋キャンパスのボランティアセンターで行われた「事前学習」に出席。拓弥さんから、日本酒の造り方や権田酒造の特徴などを直々に教えていただきました。そのレクチャーを通して、昔から変わらない手法には浪漫を感じつつ、近年の機械化?効率化と比較してしまうとその分、大変さもあるように感じました。だからこそ私たちがボランティアとして行く意義があるのだと考え、自分にできる最大限のことをして役に立とうと意気込みました。

室て?の作業
当日を迎え、実際に活動が始まると、自分の想像通りにはいきませんでした。まず私たちは基本的な作業の方法を知らないため、何をするにしても教わるところから始めなければなりません。拓弥さんには、普段の作業にはない“教えるための時間”が生まれてしまっていましたし、普段2,3人で取り組んでいる作業に対し、5人のボランティアが来たため、役割分担にもお手を煩わせてしまいました。加えて、日本酒造りに興味がある私たちの質問に丁寧に答えていただけたものだから、「普段の仕事より大変にさせてしまっているのではないか」と、「これでいいのだろうか」と、参加する前に自らが望んだ結果と真逆になってしまっているようにも感じました。幸子さんに用意していただいた食事がどれも美味しく、豪華に感じたこともその想いを加速させたかもしれません。“お客様”のように扱われていないだろうか、「自分は“ボランティア”としての役割を果たせているのだろうか」と不安でいっぱいになりました。
1日目の活動が終わった夜。権田家の方々と一緒に夕食をいただきながら、その日の活動の振り返りを行いました。その際、私はこの不安感を直接、権田家の方々に打ち明けました。
——「今日一日、ボランティアとして貢献できたかと聞かれたら、自分はそう思わない。ボランティアに教えるという普段にはない無駄な時間が生まれるし、丁寧に指示してもらって、かけている負担の方が大きいのではないか」。
このプログラムを今回始めて実施する中で、拓弥さん自身もボランティア受け入れに悩まれたようでした。実際、午前中の活動は私たちを気遣って、蔵見学のような側面をもった活動にしてくれていたそうです。しかし、一緒に活動していた立教大学のボランティアコーディネーターと話し合い、午後は当初の予定から修正し、自分たちの手が回らず着手できていなかった、地味だけれど経営的にも本当に必要な、でも「本当にこんなことを頼んでいいの?」と思って避けていた「酒粕の梱包(商品化)作業」を任せることにした、と話していました。今回のボランティア受け入れの経験を次回に生かすことができるということも、権田酒造としての収穫になるという話もしてくださいました。
1日目の活動が終わった夜。権田家の方々と一緒に夕食をいただきながら、その日の活動の振り返りを行いました。その際、私はこの不安感を直接、権田家の方々に打ち明けました。
——「今日一日、ボランティアとして貢献できたかと聞かれたら、自分はそう思わない。ボランティアに教えるという普段にはない無駄な時間が生まれるし、丁寧に指示してもらって、かけている負担の方が大きいのではないか」。
このプログラムを今回始めて実施する中で、拓弥さん自身もボランティア受け入れに悩まれたようでした。実際、午前中の活動は私たちを気遣って、蔵見学のような側面をもった活動にしてくれていたそうです。しかし、一緒に活動していた立教大学のボランティアコーディネーターと話し合い、午後は当初の予定から修正し、自分たちの手が回らず着手できていなかった、地味だけれど経営的にも本当に必要な、でも「本当にこんなことを頼んでいいの?」と思って避けていた「酒粕の梱包(商品化)作業」を任せることにした、と話していました。今回のボランティア受け入れの経験を次回に生かすことができるということも、権田酒造としての収穫になるという話もしてくださいました。

役割分担しなか?ら酒粕を梱包した

タンクに氷を投入している様子
とはいえ、予定通りにいかない部分もあるようで、お米の生育が遅れたことで、仕入れのスケジュールが後ろ倒しになり、今回のプログラムにあてるはずだった作業ができなくなったそうです。自然環境と密接につながっているからこそ、スタッフであれ、ボランティアであれ、思い通りにいかないことがあるのだとわかりました。
一方で、「日本酒への関心を深めてもらえたことにも価値があった」とも話されていました。日本酒の消費量が減少する中で、その魅力が若い人に伝わることを権田家の方は嬉しく思われていました。今回、日本酒の魅力を深く知った私たちがきっかけとなり、更に他の大学生へと日本酒を好む輪を広げることができれば、日本酒業界全体の盛り上がりに繋ぐことができると思います。
私たちボランティアへの気遣いについて、立教卒業生である幸子さんは、「後輩へ何かしてあげたいという気持ち」であり、「私も先輩から色々してもらった。その貰った分を後輩にあげているだけ」と話していました。立教大学の学生として、自分がこの活動に参加した価値はここにあると確信しました。次は私たちから後輩へ。長きに渡って縁を繋げること、それは新たな価値の創造にも繋がるのではないか、と考えています。
一方で、「日本酒への関心を深めてもらえたことにも価値があった」とも話されていました。日本酒の消費量が減少する中で、その魅力が若い人に伝わることを権田家の方は嬉しく思われていました。今回、日本酒の魅力を深く知った私たちがきっかけとなり、更に他の大学生へと日本酒を好む輪を広げることができれば、日本酒業界全体の盛り上がりに繋ぐことができると思います。
私たちボランティアへの気遣いについて、立教卒業生である幸子さんは、「後輩へ何かしてあげたいという気持ち」であり、「私も先輩から色々してもらった。その貰った分を後輩にあげているだけ」と話していました。立教大学の学生として、自分がこの活動に参加した価値はここにあると確信しました。次は私たちから後輩へ。長きに渡って縁を繋げること、それは新たな価値の創造にも繋がるのではないか、と考えています。

蒸米を箱に移して室に運ぶ作業

仕込み状況を確認
ただの日本酒への関心から始まった今回の活動への参加。“自らの善意から提供する無賃の労働力”としてイメージしていたボランティアですが、たった1泊2日の活動で、様々な考えや想いを繋ぐ使命や可能性があるということ、継承者としての価値があるということ、自分の中での考えが大きく変容しました。
今後参加する活動でも、労働力という表面的な価値の奥にあるボランティアの可能性を意識して探し、活動先のニーズに応えられるような自分の役割を見つけて、取り組んでいきたいです。
今後参加する活動でも、労働力という表面的な価値の奥にあるボランティアの可能性を意識して探し、活動先のニーズに応えられるような自分の役割を見つけて、取り組んでいきたいです。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
CATEGORY
このカテゴリの他の記事を見る
立教生のキャンパスライフ
2025/04/23
RIKKYO Future Project(2024年度)
異文化コミュニケーション学部4年次 趙 奕颯さん、経済学部2年次 矢野 真希子さん